要素の表現

PROMASTER CHRONOGRAPH

https://ms.citizen.jp/assets/051_06-09_E210_01

 このモデルの中心にあるものは、特殊性のある“多機能”という“要素”だと思います。
 “要素”をデザインの観点からどのように表現することができたか。それがこの腕時計の持つ完成度に表れていると思います。
 充電量表示を扇表示にし、その中心部を12 時時字として機能させるといった構成は特異であり、このモデルがもつ魅力のひとつです。同時に、多くの要素がお互いに干渉しあわないよう文字板、リング上にレイヤー、面構成により配置される工夫が施されています。
 “スポーツ”という言葉を表層的にカタチとして表現するのではなく、使用状況を想定し必要以上に凹凸構成をしないなどといった作りこみもなされています。
 メタルバンドには、連結駒にミラー仕上げの交互使いが施され、躍動感のある個性が演出されています。また、りゅうずとプッシュボタンガードを別体で仕上げ違いにすることで特徴づけ、プッシュボタンの形状とともにクロノグラフの機能を使いたくなるような仕掛けがなされています。
 “機能”“スポーツ”という“要素”を本質を見据えて構成、表現したデザインが大きな魅力としてあらわれた、プロマスターらしいモデルとなっています。

051_06-09_E210_0244.0 mmと大きなケースであるが、バンドとフルフローで構成されているため、情報量の多さと比較し、すっきりとした印象を与えている。

051_06-09_E210_03ケース総厚が14.5 mmであるが、ベゼル、ケース本体、裏ぶたの厚さの比率が3:5:2となっており、必要以上にボリュームを感じさせない。

051_06-09_E210_04ケースラグ上部に、バンド上面と同じ面をあてている。このことにより、ケースとバンドの一体感がより強く表現されています。

051_06-09_E210_053 時別体ガードを本体と仕上げ違いにすることで、時計が持つ機能性を表現。りゅうず、プッシュボタンが手首へのストレスにならないようガードによりその突出具合が調整されています。

051_06-09_E210_06常時使うことのない8 時アラーム用りゅうずは、ケース本体一体型で流れるようなラインを持つガードで覆われています。そのことにより手首へのストレスも軽減されています。

051_06-09_E210_07連結駒のミラーパーツは内、外交互に配置され、単調な構成の中でアクセントとなっています。H 駒構造を採用することにより、腕へのフィット感が良くなっています。

051_06-09_E210_0812 時充電量表示針の中心部が丸夜光時字を兼ねており、充電量表示及び特殊な窓形状とともにこのモデルの最大の特徴となっています。

051_06-09_E210_09ベゼルを細縁にし主張を抑えることで、文字板、リングの持つ時計の機能情報を最大限伝えることに成功しています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

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 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

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自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

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 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。