シチズンデザインの要素

シチズンデザインの要素となる76 のキーワードとそれらをグループ化した11カテゴリー。「シチズンの時計がユーザーにどのような感情を知覚させるのか?」ということを意味しており、個々のデザイナーのなかで暗黙知として蓄積されていた時計デザインのヒント・テクニックを言語化したもの。

element

a /機能性

a

時計が持つ役割とは時間を正確に刻むことであり、それが本質の一つです。しかし、現代的な時計はそれ以上の役割も担います。「機能性」は、ユーザーが行う様々な活動に時計がどのように寄与できるのか、その関係性を時計が示すもの。

01 本質を損なわない機能性
02 機能性を表現する
03 美に至る機能性
04 特定ユーザーへの配慮

b /体感・直感

b

人は、未知のものと遭遇したとき、自分が過去に経験してきた認知的スキーマとの整合性を図ろうとします。このカテゴリーに該当する時計は、その中でも言語化が難しい体感や直感を呼び覚まします。

05 精緻な佇まいによる静けさ
06 体現されたスピード感
07 自然環境との一体感
08 忘れられないユニークさ
09 楽しみが伝わる
10 見せないことによる色気
11 光と影による儚さ
12 「健全さ」と「癒し」を与える
13 ジオラマが生むワクワク感
14 多機能によるレトロフューチャー感
15 アクティブさが生むワクワク感
16 アンバランスさが生む力強さ

c /満足感

c

満足感は、ユーザーが時計に求める様々な水準を満たしたときに得られる感情。このカテゴリーに該当する時計は、具体的なユーザーのニーズを想定し、それを満たすことに焦点があります。

18 繊細さによる知的満足感
19 高級感=ステータスの象徴
20 統一感による満足感
21 時計に自分を重ね合わせる
22 相手にストレスを与えない
23 「女性らしさ」と「女性への配慮」
24 ユーザーフレンドリー
25 タフなエレガントを体現する
26 女性のあり方を体現する
27 特別な装いによる自己顕示欲
28 直感で分かる高級感× 機能性
29 装飾品としての腕時計らしさ
30 女性に贈る花の腕飾り

d /美

d

時計の本質的な価値として、機能とともに「着飾るためのアクセサリーとしての美しさ」が挙げられます。このカテゴリーに該当するモデルは、もう一つの本質である機能を保証することは当然であるが、さらに様々なアプローチから「美」の追及を試みるものでもあります。

31 切削加工の美しさ
32 伝統・文化の美しさ
33 機能を「美」のための要素とする
34 王道の美しさ
35 複合的な総合美
36 バランスによる美への昇華
37 素材の特徴に合わせた美しさの表現
38 つくりの良さによる美と個性
39 装飾品としての美しさ

e /安心感

e

道具は人の行為を拡張します。ただし、拡張された行為に対して道具が何の保証も与えないのであれば、それは優れた道具とは言えません。また、時計を身に着けるという観点から考えれば、身体を保護するための道具として捉えることもできるでしょう。このカテゴリーに該当するモデルは、時計を身に着けることによってユーザーに与える安心感の様々なバリエーションを表すものです。

40 力強さによる安心感
41 機能性の中にある母性
42 無骨さが与える安心感
43 安心感を与える視認性

f /所有欲

f

「人がモノを欲しいと思う感情はどうやって湧き上がるものなのか」を追求し、具体化したモデルが該当するカテゴリー。普遍的な価値、技術的・外観的な新しさ、強烈なインパクト、ファッショントレンドなどの所有欲を喚起する観点と時計を組み合わせた、印象的なデザインによって仕立て上げられた時計が含まれます。

44 時代に即した機能× デザイン=マストアイテム
45 所有欲を喚起するクリーンな高級感
46 いつもの自分をランクアップさせる
47 分かりやすく魅力を伝える
48 魅力的なバランス感覚
49 欲求を掻き立てるインパクト
50 ステータス表現の拡張
51 所有欲をくすぐるガジェット感
52 時代を超える普遍性

g /新しい価値観

g

シチズンが生み出す時計の面白さの一つは、本質的な時計の価値に対するリスペクトがあるとともに、様々な新技術や新素材を取り入れていたり、様々なシチュエーションで役立つ機能が組み込まれていたりすることにあります。このカテゴリーには、時計の新しい価値を見せるモデルが該当します。

53 「計器」としての新しさ
54 未来感を与える
55 新しい技術を腕時計に取り込む
56 特定用途が生む新しい価値観

h /唯一無二の個性

h

「出る杭は打たれる」ように、あまりにも突出した個性を有するモデルはユーザーに受け入れられないかもしれません。一方で、無数にある時計の中から、没個性しない個性的なモデルを欲するユーザーは存在します。このカテゴリーには、「どのようにその時計が唯一無二の個性を表現するか」という命題に対して様々なアプローチから取り組んだモデルが該当します。

57 未来感のある親しみと愛らしさ
58 技術と美の融合
59 「時計」としての存在感
60 デザインの転換によって生み出されたキャラクター
61 時計らしくない時計
62 大切な「存在」としての時計

i /作り手の情熱

i

複雑に作りこまれた精密機器からは、人間らしさが感じ取れないこともあります。一方で、その時計が持つ機能やつくりから、ユーザーを想う作り手の存在が感じられることもあります。このカテゴリーに該当する時計からは、その裏側にいる作り手の努力が様々な形で感じられます。

63 機能性と装飾の両立
64 真摯な作りこみと温かさ
65 作り手のこだわり
66 作り手の寄り添い

j /心地よさ

j

時計は、衣類と同じように常に「人と密着」し、コンピュータと同じように「操作される」という特徴を有しており、とにかくストレスを与えるのではなく、心地よさを提供するものでなくてはなりません。このカテゴリーに該当するモデルは、 シチズンの時計がこれまでどのような心地よさをユーザーに提供してきたのかを表すものです。

67 ユーザーを想うデザイン
68 視覚的・物理的な装着感
69 主張しすぎないことでストーリーを紡ぐ
70 素材を生かす引き算による心地よさ
71 操作をアフォードする
72 抵抗感のない心地よさ
73 人を跳ね返さない
74 五感に伝わる優しさ
75 インテリジェンスマッチョ
76 幾何学デザインによる知性

k /知性

k

人が知性を感じるのはどのようなときか。一つとして、正確無比な精密さや、一定の規則性など、揺るがないという特徴がみられたときが挙げられるように思われます。このカテゴリーに該当するモデルは、上記の知性を感じさせる諸要素を満たす個性的な時計です。

75 インテリジェンスマッチョ
76 幾何学デザインによる知性

RELATED

シチズンらしさの
12カテゴリー

シチズンらしいモデルを選び出すため、全社員を対象としたアンケートを行い、記述内容の計量テキスト分析を行いました。その分析結果をもとに最終的なセレクトの基準となるシチズンらしさの12カテゴリーを決定。100年を超えるモノづくりの歴史の中で、暗黙知として蓄積されてきた「シチズンらしさ」を言語化したものと言えます。

12categories

DESIGN SOURCE 100

シチズンらしさの12カテゴリーを骨子とし、①シチズンらしさを持っているか、②高いデザインの完成度を持っているか、③現代に引用したい要素を持っているか、この3つの視点で100モデルを選出しました。スケッチという手段を用いて、すべてのモデルで綿密なリサーチを行っています。

design-source-100

デザインの本質

100モデルのリサーチで生まれた膨大なテキストを量的分析したことで抽出された、時代を問わずシチズンモデルの根底に流れるデザインの本質を表す8か条の言葉。シチズンのデザイン行為のなかで常に念頭におくべき指標です。

essence

時計デザインの文法

「デザインの要素」を体系化する中で、シチズンならではの時計デザインにおける3つの文法が存在しているという気づきが得られました。「感情のデザイン」を実践するための、思考のテンプレートのようなものだと考えています。

syntax