レトロフューチャー

DIGITAL CALCULATOR

https://ms.citizen.jp/assets/070_10-02_カリキュレーター_01

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。
 この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。
 時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。
 15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。
 加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。
 特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

070_10-02_カリキュレーター_02見慣れぬボタンの配列、りゅうずの出っ張りの無いケースからバンドへの流れるようなスタイルはとても個性的で色褪せない輝きを放ちます。ケースのボリュームに対してバンドの厚みのギャップが「70年代らしさ」「おおらかさ」を感じさせます。

070_10-02_カリキュレーター_03ケースとバンドの一体感。ゴールドで統一された色調。大胆なプッシュボタン配列は近未来の時計への期待が感じられ、レトロフューチャー感を漂わせています。美しさとレトロフューチャー感を感じさせます。

070_10-02_カリキュレーター_06円周状にプッシュボタンを配置する斬新さ。すり鉢状に加工されたプッシュボタンの輝きは「機能」と「装飾」を両立させています。

070_10-02_カリキュレーター_07上側:時刻&カレンダー表示。下側:カリキュレーター表示。ガラス裏面に印刷された文字(黒く描かれた部分)は黒ではなく少し茶色がかった色調で処理され、ゴールドで構成されたデザインとの調和が美しい。

070_10-02_カリキュレーター_0423所に配置されたプッシュボタンはすり鉢状に加工され、先の細いもので押した際、確実に中心に導き押し損じを防ぐ効果をもたらします。

070_10-02_カリキュレーター_08裏ぶた自体は当時のクオーツ時計と変わらないスクリューバック。「RSGP=ローズゴールド」は当時の時計では少数だったと思われます。プッシュボタンの円周配列の発想は腕時計のデザイナーならではのアイデア。全体をゴールドで纏っているが色調と濃淡の使い分けが秀逸。国産初の機能を纏った誇らしさを感じさせます。

070_10-02_カリキュレーター_05デバイスカバーの樹脂色の緑とケースのゴールドのコントラストが美しい。駆動に要する電池は3 個。

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