流れの中にあるリズム または流線型であること

PARADIGM

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視覚的、また物理的にも腕への装着感の高さを感じさせるデザインになっています。
バンドからケースにかけて、流れるようにラインがつながっています。しかしそれは単調なリズムで終わっていません。ケースに流れ着いたとき、突然テンポを変えています。そのことで、単純なフルフローデザインで終わることなく、ケースの存在感もしっかり表現されています。
全体の仕上げを見てみると、両サイドのみミラー仕上げにし、大きな面を占めるセンター部を12時 - 6 時ヘアラインとしています。これによりステンレス素材の持つ魅力を十分に引き出されています。
文字板に目を移すと、色調はシルバーで、ほぼケース、バンドと同色であり、このモデルを語る上での大きな特徴と言えます。文字板をケース、バンドと色調においても一体化させることにより、流れるようなデザインの表現がより強まっています。
文字板上の表記も白印刷であり、同一トーンへのこだわりが表れています。形状もさることながら、色調に関しても流れを意識したデザインが大きな魅力となっています。

031_05-02_フルフロー_02スマートなシルエットである一方、ケースとバンドの接続部は幅広く、存在感も演出したフルフローなプロフィール。

031_05-02_フルフロー_03上方向にも突起、装飾を設けないことにより、滑らかで装着感が良いと言った印象を与えています。

031_05-02_フルフロー_04ケース、バンド上面は大きな複合アール形状によって構成され凹凸の少ない、柔らかな表情をしています。

031_05-02_フルフロー_05バンドからケースにかけての流れるようなプロフィール。流れた先でリズムを変化させることで個性を演出しています。

031_05-02_フルフロー_06固定エンドピース構造をとることにより、側面においても流線型を意識しています。腕へのフィット感にもつながります。

031_05-02_フルフロー_07中心部に厚みを持たせ、サイドに向かって薄く変化させる断面形状で腕なじみを良くしています。また、流れるラインを表現するための逆テーパーでの回転構造。

031_05-02_フルフロー_09ケース、バンド上面は大きな複合R 形状によって構成されている。凹凸の少ない、柔らかな表情をしている。

031_05-02_フルフロー_08文字板色のシルバーは、旭光仕上げと相まってケース、バンドと自然に調和。時計全体が一体感のあるカラーリング、質感となっています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

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 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

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自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

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最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。