目で見ても、手で触れても 可読性のよい文字板

CITIZEN SHINE

https://ms.citizen.jp/assets/083_11-06_シャイン_01

 数ある腕時計の中でも、「文字板と針に直接触れて時を読み取る」ことを前提として設計されたものはこのような視覚障がい者対応のものに限られます。各パーツの造形や仕様には「触れられるパーツである」ことへの細かな配慮がされています。
 時計全体のデザインはシンプルでありモダン。開閉可能なベゼル部分には球面ボックスガラスが備わっており、手に触れたとき、そのふっくらした形状が温もりと安心感を与えてくれます。
 ふたを開け、文字板の上を直接指で触れてみると、まずその針の存在感に驚かされます。多少強めに触れても位置ズレの起きない丈夫なステンレス製の針には、根元から先端までしっかりとした立体感があり、指で触れた瞬間にその位置を容易に読み取ることができます。
 時字も、ひとつひとつ上面を円錐で形状出しをしていますが、指の腹で触ってみても一切の尖りを感じません。その形状も点字から発想を得たであろうと思われます。樹脂塗装された文字板はこちらもガラス同様にふっくらとした形状のため文字板表面の触り心地がよく、いつまでも触っていたいような気持ちになります。
 この時計を必要とする人々への設計者たちの「寄り添い」を深く感じることのできるモデルです。

083_11-06_シャイン_02文字板上に直接触れて時間を読み取るため、文字板上の針、時字、文字板面全てがソフトな形状で構成されています。ケースガラスのふたを開閉する時の、硬すぎず柔らかすぎず心地よいクリック感。

083_11-06_シャイン_03ケース上面のガラスのアールと同様のカーブが、ケースの裏ぶたにも使われているように見えます。裏ぶたにはヘアライン目付けが施されています。

083_11-06_シャイン_04温もりと安心感のある球面ボックスガラス。

083_11-06_シャイン_07点字からヒントを得たと思われる時字形状。

083_11-06_シャイン_08装着したときにも心地よいカーブした裏ぶた形状。

083_11-06_シャイン_05表面に樹脂塗装されたボンベ文字板と視認性のよいアラビア数字。

083_11-06_シャイン_09ヒンジの付いた開閉式ガラスを開け、文字板上面を指で触れることで時間を読み取ります。立体感のある針と時字が、ほどよく指の腹に触れて読みやすくなっています。

083_11-06_シャイン_06存在感のあるステンレス製の時分針。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

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 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

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自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

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最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。