そのものがパワーストーン のような存在感

Quartz E・F・A

https://ms.citizen.jp/assets/045_06-03_クオーツEFA_01

 1973 年8月、先に発売されていたシチズン初のクオーツ時計Cal.8810の精度を、月差±10 秒から±5 秒以内に特別調整し、10月に特別な仕様にて発売した商品。
 クオーツという技術がまだ目新しかった頃の、自社の技術を最高の装いで世に出したいという当時の技術者やデザイナーの気概を感じるモデルです。
 ケースには当時の主流である切削加工を大胆に施し、文字板素材には紫金石を使用。時字にはカットしたルビーを三ヶ所に配置しています。
 黒っぽく艶めく文字板に浮かぶゴールドの針やルビーの時字という組合せもあいまって、このモデル全体から、ちょっとした自己顕示欲のような、当時この時計を所有していた人たちに特別な自信を持たせてくれたであろうパワーを感じることができます。

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045_06-03_クオーツEFA_03ケース中心部と外枠は別パーツで構成されています。だからこそ可能な上面・サイドの面取り。

045_06-03_クオーツEFA_06中心部と外周部のパーツが別体であるが、同一面のカーブで加工されています。美しい磨き。

045_06-03_クオーツEFA_07りゅうずにはCITIZEN QUARTSのCQの文字が刻印されています。粗いローレットが施された操作性のよい形状。

045_06-03_クオーツEFA_04少し逆テーパーのかかったベゼル部の斜面。ケース本体は切削による面取りでサイドからの厚みが目立たないように工夫されています。

045_06-03_クオーツEFA_08文字板のベースは紫金石。3か所にルビーをあしらっています。レイアウトにあるE.F.A はこのモデルが特別高精度品であることを証明しています

045_06-03_クオーツEFA_05秒針の中心部はノンホール。時分針は、それぞれ2体の別パーツで構成されており、ホーニングとミラーで仕上げ分けがされています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

https://ms.citizen.jp/assets/099_12-07_L ムービングダイヤ_01

自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/098_12-06_エクシード ユーロス_01

最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。