切削加工“美”

CRYSTRON MEGA

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この「クリストロン メガ」は1976 年に発売されたモデル。当時、今のような高精度なCADをベースにした切削機器はなく、外装部品の製造には多くの熟練工達の“技”が生きていたのだろうと容易に想像することができます。
実際にこの時計の形状や各部位を調べ上げていくと、小さな部品にまでしっかりとした加工と仕上げが施されています。時字を1つとってみても、加工精度が必要な小さな段差、視認性向上のために設置されたであろう「黒印刷」など、一切の妥協は感じられません。
ケースの形状をよく見ると、各部位に大胆なアール形状、直線が美しく映える鋭角な切削形状等が使われており、切削による“美”を理解した上で製造していたのだろうと感じられます。ケースラグ上面、文字板上面には金属の型を使った梨地風の模様が施されており、ステンレス表面の模様が生き生きとして見えます。まるで模様が「見てくれ見てくれ!」と語りかけているようです。

003_01-03_クリスロトン・メガ_02一般的な丸い時計形状とは異なる、TV型の独特な形状が個性的。ケース上面の細かい線のようなホーニング処理も強い個性を放っています。

ケース横身形状は、ケース正面からはイメージできないような凹凸感があります。裏ぶたに小型電池用の電池ぶたがありメリハリがあります。

003_01-03_クリスロトン・メガ_03この時代らしい特徴的な異形ケース、各エッジ部分の面精度が素晴らしい仕上がりになっています。ケース表面の特殊なホーニング仕上げも独特です。

003_01-03_クリスロトン・メガ_04まるで日本刀のような切削加工の面精度。斜面部分の磨き上げも美しく、バンドを囲うような斜面は、美を追求したのだろう意思を感じます。

003_01-03_クリスロトン・メガ_05まるで蒸気機関車のような隆起感がある裏ぶた。当時らしい特徴的な形状になっています。旭光の目付けの中心が電池ぶたの中心になっています。

003_01-03_クリスロトン・メガ_08この時計の醍醐味はその立体感にあると思います。見る角度でこの時計は様々な表情や形を見せてくれます。丸形状では出せない強い個性。各部に設けた斜面やアール形状は切削精度の高さも感じさせてくれます。

003_01-03_クリスロトン・メガ_06現在ではあまり見られない特徴的なトラック形状の文字板。表面の梨地風の粗い目付けがとても綺麗に入れられています。植字の切削も綺麗です。

003_01-03_クリスロトン・メガ_07型により表現された「CQ」マークの造形が深く、とてもシャープ。面の仕上がりもとても綺麗。

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