切削加工“美”
この「クリストロン メガ」は1976 年に発売されたモデル。当時、今のような高精度なCADをベースにした切削機器はなく、外装部品の製造には多くの熟練工達の“技”が生きていたのだろうと容易に想像することができます。
実際にこの時計の形状や各部位を調べ上げていくと、小さな部品にまでしっかりとした加工と仕上げが施されています。時字を1つとってみても、加工精度が必要な小さな段差、視認性向上のために設置されたであろう「黒印刷」など、一切の妥協は感じられません。
ケースの形状をよく見ると、各部位に大胆なアール形状、直線が美しく映える鋭角な切削形状等が使われており、切削による“美”を理解した上で製造していたのだろうと感じられます。ケースラグ上面、文字板上面には金属の型を使った梨地風の模様が施されており、ステンレス表面の模様が生き生きとして見えます。まるで模様が「見てくれ見てくれ!」と語りかけているようです。