誠実さの“真摯美”

CITIZEN SUPER DELUXE

https://ms.citizen.jp/assets/024_04-01_スーパーデラックス_01

「スーパーデラックス」は1958年に発売されたモデル。1950年代(昭和25~34年)の日本の工業製品を調べてみると、現在も広く市民に使われ続けている生活に密着した工業製品が多く見られます。そんな時代にこの時計は世に送り出されました。
シンプルで実用的なルックスをしており、過度な装飾はケースや文字板、小部品からは見られず使い勝手も良さそうで、時代の影響をしっかり受けているように思えます。あえて挙げるのならばボックス状のガラス、ロケットの先端のようなりゅうずとカーブ形状の裏ぶたの3 箇所は、程よく個性を演出しています。細いケースラグ、細いベゼルや大径の文字板など、細部の作りこみの美しさには驚かされます。
文字板外周部には曲げ加工が施され、ボックス状のガラスとカーブ形状の裏ぶたとが組み合わさり、「薄さ、性能、加工美」をしっかりと体言しています。シチズンの真摯な姿勢が製品にしっかり宿っており、このまま現代でも十分販売できそうな魅力を持っています。文字板曲げ加工の反射も、柔らかく心地が良いものです。
この「スーパーデラックス」からは、真摯な作りこみと柔らかい人肌のような温かさが感じられます。

024_04-01_スーパーデラックス_02特徴的な細いベゼルとシンプルで伸びやかなケース全体像。ボックスガラスが作る、上面に大きく飛び出た形状も大事な個性となっています。

ケース本体横身は、シンプルで薄い形状をしています。ボックスガラスと丸く飛び出たバブルバック(裏ぶた形状)も特徴的です。

024_04-01_スーパーデラックス_03全体的に細い印象を受けるケース形状。ベゼル、ラグも細くやや華奢な雰囲気。ガラスがボックス状に、裏ぶたがカーブ形状になっており横身はやや太く感じます。

024_04-01_スーパーデラックス_04革バンドはステッチ無しのシンプルなスタイル。表裏に同じカーフ素材を使用した仕立てとなっています。バンドの内部に程よいパッドが入り優しい形状。

024_04-01_スーパーデラックス_05このモデルの特徴の1つでもある裏ぶた形状。バブルのようにラウンドして盛り上がる、この時代ならではの美しい形状をしています。

024_04-01_スーパーデラックス_08正面から見た形状では想像できないような、上面と下面に丸く盛り上がったボリュームある形状が特徴。

024_04-01_スーパーデラックス_06クラシックモデルでよく見かけられる外周部が曲げられた文字板形状。金属素材ならではの加工美。曲げられた部分が淡く柔らかく光を反射します。

024_04-01_スーパーデラックス_07まるでロケットの先端部分のように尖った形状のりゅうず。シンプルなケースデザインとは裏腹に、りゅうず形状はやや独特。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

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