赤ちゃんのような感覚

CITIZEN

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 こういったものこそ現代の人が持つべき時計ではないか、そう思わせてくれる一品です。
 モノがあふれている世の中に、大切に扱いたいという気持ちを催させ、しかし決して幾何学的ではない柔らかな曲率で構成されたモノ自身が持つ愛おしさが、まるで赤ちゃんを扱うかのような気分にさせてくれます。巻きすぎると千切れてしまうのではないかと、丁寧にまわすりゅうずはしっかりとしたクリック感とバネの反発力を感じさせてくれます。
 秒針は、機械ならではの小気味よい運針を見せてくれます。いまどきの時計にない、チクタクとなる音も大きく、中に機械が入っているのだと実感させてくれます。
 その機械を見たくて裏ぶたを開くと、コリマソナージュがきらめく歯車の存在感が目を引きます。りゅうずに連動して煌めくのでついついまわしてしまいます。発色のよいルビーは、奥にある動くがんぎ車に、動くたび違って見える化粧を施しているかのようです。歩度調整も自分でできそうな大きな緩急針で、機械まかせではない自分の時間のペースを生み出している感覚になります。
 いつもは使わないジーンズの右小ポケットにするっと収まり、卵のように手になじみます。時のあいだの間隔は、いつでも自分で変えられる。赤ちゃんのように優しく、大切に扱いたくなる。
100年の歴史が始まった最初の時計です。

078_11-01_CITIZEN 16型_02ベゼルよりも若干大きいケース。段差などはなく、連続したサーフェスとなっています。

078_11-01_CITIZEN 16型_03プロダクトというより、卵を手に持っているような感覚。

078_11-01_CITIZEN 16型_04紐の結び目がケースに当たるので、ボウがケースにあたって傷がつくことがありません。分針の先が曲げられており、時刻が見やすいです。

078_11-01_CITIZEN 16型_05琺瑯独特の、反射がざらっとしているのに滑らかな艶感が、なんとも言えないやさしい白色の文字板。。

078_11-01_CITIZEN 16型_06りゅうずはぜんまいを巻き上げるための大きさで、カットされたローレットはほどよく指にかかります。りゅうずパイプ側の端が山型になっているのがカットの証明です。

078_11-01_CITIZEN 16型_07すごく大きなてん輪が振れるたび、チラねじが輝きます。真っ先に目に入る「丸穴車」と「角穴車」はエッジがきらめき、コリマソナージュがとてもきれいです。

078_11-01_CITIZEN 16型_08今も田中貴金属の高級ラインに使用されるホシエスマークが刻印されています。蓋の内側にはペルラージュ模様がありますが、ミラーが強く時計の機械が写りこんでいます。「東京電力合併記念」と刻印されています。ガンギを留める人工ルビーは地板との距離があり、透過してガンギがピンクに光ります。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

https://ms.citizen.jp/assets/099_12-07_L ムービングダイヤ_01

自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/098_12-06_エクシード ユーロス_01

最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。