多機能ムーブの抽象表現

Concept Model Eco-Drive DOME

https://ms.citizen.jp/assets/061_07-06_Eco-Drive DOME_01

 「光のクリーンエネルギーを身に着ける」をテーマとし、その具現化にチャレンジしたモデル。「クリーン」という抽象的テーマを表現するためにベゼル等、形状を複雑化する要素を削除。同一面の中で「形状を分割」させ、一体感のある塊の中に機能部品を同化させています。
 また、クロノグラフという多機能ムーブメントを使用するにあたり、文字板の印刷表示をできる限り削除しています。その代わり、透明な成型部品の反射による形状認識を利用し、さらに蒸着処理された透明部品を層にすることにより、映りこむ形や影を作り、仕上げとばかりに浮かせた部品に印刷をのせ、光輝く空間の中に印刷を漂わせることで、テーマである「光のエネルギー」を表現しています。

061_07-06_Eco-Drive DOME_02シンプルなデザインのケースですが、正面図だけではなく、三面図で見ると多数の部品から構成されていることがわかります。

061_07-06_Eco-Drive DOME_03色味は白と黒のみですが、パーツは多数使われています。

061_07-06_Eco-Drive DOME_06ケースの白い部分は、金属部品(チタニウム)の上に自動車用塗装を何層にも重ね塗りされています。さらに、その塗膜層の安定化が困難な部品を組み合わせ、ねじ固定する等、生産から組み付けまで相当な手間と時間が掛けられています

061_07-06_Eco-Drive DOME_09時計の完成品を見ると異形の球面ガラスがケースに組み付けられているように見えますが、実際は外形が丸、しかも両球面のガラスに溝を彫り、そこにケースを被せ、埋め込む構造になっています。この構造により、防水の確実性を高めています。

061_07-06_Eco-Drive DOME_04文字板のサブダイヤル表示や裏ぶたのシリアルNo.等のフォントは、ケースのデザインに合わせ未来感のあるものが選択されています。

061_07-06_Eco-Drive DOME_07通常は印刷等で表示されるインジケーター表示だが、蛇腹状成型で表現され、光の反射にて読み取る仕様になっています。

061_07-06_Eco-Drive DOME_10細かく色分けがされており、凹凸も細かく作りこまれ、これにより高級感の演出に貢献しています。

061_07-06_Eco-Drive DOME_05小さな部品ですが複数の部品で構成されており高級感があります。

061_07-06_Eco-Drive DOME_08プラスチック成型品ならではの形状。

061_07-06_Eco-Drive DOME_11非常に複雑な形状の部品を多層に組み込み、文字が浮かんで見える等、透明感と光にあふれた空間表現がされています。

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