見せずに、魅せる

Series 8 801

https://ms.citizen.jp/assets/060_07-05_シリーズ8_01

 華美な飾りがなく、削ぎ落とした引き算のデザイン。それゆえに、大胆さと繊細さが引き立てら
れているモデルです。
 各パーツのつなぎ目やビスを見せない構造と精巧な造りにより、パッと見ただけでは8 体構造だと分かりません。ラグは構造を生かした、垂直に切り落とされた鏡面加工の潔い大胆な形状になっており、美しいエッジが際立ちます。
 複雑な構造をアピールするモデルは複数ありますが、あえて見せないこだわりが、大人の色気を感じさせます。

060_07-05_シリーズ8_02当時のコレクションのコンセプト“ステイタスよりスタイル、ラグジュアリーではなくスマート”通りの、無駄な装飾はなくミニマルなデザイン。シンプルだが高級感を兼ね備え、洗練された印象。

060_07-05_シリーズ8_03重心を下げた個性的なサイドビュー。12時 - 6時にカーブした裏ぶたが、さらに腕なじみの良さを感じさせる。

060_07-05_シリーズ8_048 体構造のケース、各パーツの面品質が高くエッジが立っています。ラグのサイドは、垂直に切り落とされた個性的な形状。

060_07-05_シリーズ8_05厚みを感じさせないように、ケースサイドをテーパーにしています。リフレクションが強く感じるようにデザインされています。

060_07-05_シリーズ8_06視認性を確保し、上品に仕立てられた美しい文字板。

060_07-05_シリーズ8_072 時位置は隠しプッシュボタンですが、2 時/ 4 時ともに通常のプッシュボタンに見える形状に整えられています。また、ケースに対し若干細めのバンド幅。さらに、うまく鏡面加工を使用し、すっきり端正に感じるデザイン。

060_07-05_シリーズ8_08ゆがみ無くきれいに磨ける別体構造。多くのビスを使用していますが、裏側からは4 本しか見えません。一見すると、8 体構造とは分かりません。

WATCH

CREDIT

RELATED

https://ms.citizen.jp/assets/070_10-02_カリキュレーター_01

レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

https://ms.citizen.jp/assets/099_12-07_L ムービングダイヤ_01

自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/098_12-06_エクシード ユーロス_01

最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。