絶妙なバランス

CHRONOGRAPH ALARM

https://ms.citizen.jp/assets/049_06-07_プロマスター クロノグラフ_01

 当時のシチズンのクオーツクロノグラフムーブメントでは一番高機能なCal. 3510を使用した個性的なモデル。
 単なる角ではなく丸でもない、何処にも直線を使っていない角丸の四角形というベストなバランスを整えるのが非常に難しいフェイスデザインに挑戦した秀作です。
 ケースデザインもあえてベゼルや形状をはっきりさせるエッジなどの力を借りずに破綻無くまとめられているところにデザイナーの力量がうかがえます。
 異形にも関わらず10 気圧防水を実現するために裏ぶたをねじ構造の丸い形状にし、安心して日常的に使用できます。
 バンドも薄くピッチの細かいバンドにフリーアジャストバックルで、あらゆる腕の太さに対応できるようになっています。
 このように、全ての要素が絶妙なバランスでまとまっており、今でも通用するような時代を超越した魅力を持ったモデルです。

049_06-07_プロマスター クロノグラフ_02クロノグラフの定番である丸形ケースではなく、かつ単純な長方形でもない特殊な異形にあえて挑戦し、破綻なくまとめられています。

異形のフェイスと円形の裏ぶたを繋ぐケースサイドはどこかで形状を変化させる必要がありますが、薄いバンド断面に合わせ、あえてケースのボリュームが分厚く見えないところで大胆に切り、全体のバランスを取っています。

049_06-07_プロマスター クロノグラフ_03ケースは微妙に縦に長い角丸の四角形で、つぶれて見えないようにバランスを取っています。3 種類のアールを使い四角過ぎず、丸過ぎない独特の見切形も個性的。

049_06-07_プロマスター クロノグラフ_04ケースはベゼルやエッジの無いモノフォルムで、ホーニング仕上げと相まってモダンな雰囲気があります。

049_06-07_プロマスター クロノグラフ_05比較的大きく厚いケースに対してバンドは薄く、ピッチも4 mm と短いもの。フレキシビリティーの高いバンドを合わせ、ベストなフィッティングを実現。

049_06-07_プロマスター クロノグラフ_08浅い段差だけで表現された小レジや、サイドの小斜面のみがキラッと光る植字など、シンプルな中にディテールが効いている文字板。

049_06-07_プロマスター クロノグラフ_06視認性の良いストレートタイプで全体のモダンなイメージに合わせています。クロノグラフモデルの肝となるセンター秒針は通常より力強いタイプで、機能的にもしっかりした印象に貢献しています。

049_06-07_プロマスター クロノグラフ_07表の異形見切りに対して裏ぶたは丸で、ねじ裏ぶたにして10気圧防水を確保。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

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