ふくよかさ

PROMASTER SKYHAWK

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 この時計は多くの機能を持っており、その多機能性ゆえに文字板の密度は高くなります。バランスよく整えられた各要素の配置は、多くの情報をわかりやすく、並列的にユーザーに伝えることを可能としています。
 また、サブダイヤルの形状や色使いは、視認性に十二分に配慮されているのと同時に、多機能モデルならではの凝縮感とあいまって、視覚的にユーザーを楽しませる効果があります。
 ケースは平面が少なく、張りのある曲面を主体に構成されています。それは、多くの古代文明でみられる豊穣を願う地母神像の母性的なふくよかさを連想させます。
 パイロットウオッチというきわめて男性的なモデルのなかで母性を感じさせるところにこのモデルの意外性と個性があります。多機能をただ機能的にデザインするだけにとどまらず、文字板のレイアウトやケース形状などのモデル全体の佇まいを通して、万人が共通して持っているであろう根源的豊かさのイメージを呼び起こすようなデザインだと考えます。

036_05-07_グローバルパイロット_02とにかく密度が高く要素が多いにも関わらず、ただつめこんだだけではない、均整のとれた安心感。

036_05-07_グローバルパイロット_03全体的に張りのある形状で、固すぎない印象を与えます。

036_05-07_グローバルパイロット_04張りのある側面。無機的になりすぎず、ケースサイズが大きいにも関わらず、腕なじみの良さにつながっています。

036_05-07_グローバルパイロット_05直線と平面がほとんどない造形。ソリッド感を残しつつ、人をはねつけない印象を与えます。

036_05-07_グローバルパイロット_06お米のような形状のバンド駒のサイドビュー。正面からのオーソドックスなスタイリングのなかで、さりげない個性を加えています。

036_05-07_グローバルパイロット_07要素が多いにも関わらず均整の取れた文字板。針やレイアウトの色使いを工夫し、多くの情報をわかりやすく並列的に伝えることを可能にしています。

036_05-07_グローバルパイロット_08ただ単に機能表示だけにとどまらない、視覚的にユーザーを楽しませるグラフィック的な効果のあるレイアウト。この時計の個性にもつながる要素。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

https://ms.citizen.jp/assets/099_12-07_L ムービングダイヤ_01

自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/098_12-06_エクシード ユーロス_01

最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。