「相手が基準」という視点

ATTESA DIRECT FLIGHT

https://ms.citizen.jp/assets/034_05-05_アテッサ H610_01

このモデルは、アテッサらしいエッジのある多面加工されたケースに、ビジネスウオッチとして「重要な要素」が考慮されたモデルと言えます。その重要な要素とは、まず視認性です。例えば、慌ただしい場面においてもしっかり時刻を読み取ることが実用時計(ビジネスウオッチ)には欠かせません。その点、このモデルは多機能時計にありがちな雑多な文字板ではなく、非常に整理され、時刻を読み取りやすいように設計がなされています。
そして、ビジネスウオッチとして重要なもうひとつの要素が、相手への印象です。ビジネスシーンで使う時計は、TPO に応じた佇まいでなくてはなりません。その点、このモデルは全体的に丸みを帯びた形状のため、アテッサらしいエッジもありながら柔らかい印象を与えます。ビジネスシーンに寄り添う時計として非常にバランスのとれた名品です。

034_05-05_アテッサ H610_02全体的に丸みを帯びた形状は、ビジネスシーンにおいて相手に柔らかい印象を与え、文字板は視認性が良く実用的です。

034_05-05_アテッサ H610_03ケースからバンドまで流れるようにつながり、裏ぶたには少し丸みがついていて、着け心地が良さそうな印象を与えます。

034_05-05_アテッサ H610_04時計全体の比重が3 時側に寄ってしまうのを、別パーツを中空構造にすることで視覚的にバランスを保っています。

034_05-05_アテッサ H610_05視認性の良いバランスのとれた文字板デザイン。12 時のロケット型の時字がアクセントになっています。

034_05-05_アテッサ H610_06表記しなければいけない機能表示が多く雑多な印象を与えがちですが、見返しリングが2面に分かれており、見やすくすっきりとした印象。

034_05-05_アテッサ H610_07アテッサらしいエッジある多面カットながら、全体的に丸みを帯び、柔らかい
印象を与えています。

034_05-05_アテッサ H610_08ケースに対して幅が狭いバンドに、飾りパーツを付けてケースからバンドへ自然につながるように工夫しています。視覚的にも快適な着け心地を印象づけています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

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自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/098_12-06_エクシード ユーロス_01

最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。