機能と意匠のハーモニー

Eco-Drive THERMO

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 体温と外気温の温度差によって発電する特殊な発電方式を具現化するために、ケース上胴には冷却し温度を下げるための形状的な工夫が施され、一方裏ぶたは体温を無駄なく受け取るために腕との密着性を高めるよう敢えて湾曲させるなど、機能面の効率を高めるための繊細な配慮が感じられます。
 また、“「熱」により駆動する時計”という機能面を象徴的に表現するモチーフを意匠に巧みに織り交ぜながら、未来的な新しさを纏った洗練されたデザインに昇華されていることは特筆に値します。

020_03-02_サーモ_02ケース上面と文字板上面、さらにバンドのアクセントに熱伝導や放熱用ラジエーターフィンをイメージさせるギザギザパターンを用いて特殊な機能を表現しています。

020_03-02_サーモ_03ケース側面に施した放熱用の穴と、腕への密着性を高め効率良く体温を吸収するための裏ぶた下面のアール形状、機能性と意匠的特徴を両立させる工夫が見て取れます。

020_03-02_サーモ_04ケース上胴上面には、熱伝導や放熱用ラジエーターフィンをイメージした同心円のギザギザパターンが施され、特殊な機能を象徴的に表現しています。

020_03-02_サーモ_05樹脂製のケース内胴をケース上胴と裏ぶたで挟み込む特殊構造が特徴的。上胴側面に等間隔に開けられている冷却効果を狙った円形のパンチ穴の造形が深い印象を残します。

020_03-02_サーモ_06装着時に腕からの熱を効率良く取り入れるため、裏ぶた下面にアール形状を施し、腕への密着性を高める工夫をしています。

020_03-02_サーモ_08時計全体が「熱」で駆動する時計をイメージする幾つかのモチーフで構成され、未来的な新しさを纏った洗練された造形を創り出しています。

020_03-02_サーモ_07ケース上面と同じギザギザパターンを文字板上面にも施すことで、デザインの統一感と機能面を象徴的に演出しています。

020_03-02_サーモ_09ケース上胴側面と同じ円形のパンチ穴を時針のアクセントとして取り入れ、デザインの統一感を演出すると同時に印象に残る特徴に纏め上げています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

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自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/098_12-06_エクシード ユーロス_01

最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。