未来から来たような形

VOICE MEMO

https://ms.citizen.jp/assets/015_02-04_ボイスレコーダー_01

 このモデルを表現するには、「未来感」という言葉が一番しっくりくるように思います。
 一見すると宇宙船のコックピットのようにも感じられる特徴的な造形は、1984 年、今から40年以上も前にデザインされました。過去の時計なのに「未来感」を感じさせる、様々な機能・要素が集まっているにも関わらずまとまりがある、造形が個性的なのにシンプルに感じる、不思議な要素が詰まった時計です。
 シンプルさを感じるのは、エッジが立っていて、造形が大胆でシャープだからかもしれません。揺るぎのない潔いラインや、パキパキと移り変わる面の心地良さが、各要素の複雑さを一つにまとめて、一体感を生み出しています。
 またシャープな中に「親しみ」や「可愛らしさ」を感じるのもこのモデルの魅力。直線的なラインの中に現れる、大きなアールの付いた丸みのある見切りやスピーカー部分、CITIZENロゴやRECの文字だけに施された金や赤のカラーリング、全体的にモノクロでまとめた中で少しだけ外した要素が、愛らしさを生み出しています。
 「6 秒間の録音・再生が出来る」という当時としては画期的だった機能を、VOICE とTIMEという2つの顔で明確に分けることによって時計に上手くレイアウトし、機能性がデザインのインパクトとなったこの時計は、現代でも通用する未来的な造形と、唯一無二の愛らしいディテールを持っています。

015_02-04_ボイスレコーダー_02様々な機能、要素が集まっているにも関わらず、一体感のあるバランスのとれた時計。

015_02-04_ボイスレコーダー_03ケースは厚みがありますが、大胆な斜面や裏ぶたの工夫によってそれほど厚みを感じません。

015_02-04_ボイスレコーダー_04宇宙船のコックピットを思わせる未来感のあるデザインのケースは、機能によって上手くゾーン分けされています。

015_02-04_ボイスレコーダー_07ダイナミックな造形はレトロフューチャー感を感じます。心地良くパキパキと移り変わる面。

015_02-04_ボイスレコーダー_10程よいスパイスとなるカラーを重要な機能に使うことで、ユーザーに分かりやすく、モデルの愛らしいポイントにもなっています。

015_02-04_ボイスレコーダー_05直線的な中に丸みのある相反するデザイン。

015_02-04_ボイスレコーダー_08細く繊細な時字の文字板は、個性的なケースに引き算のデザインで上手く調和しています。

015_02-04_ボイスレコーダー_11エッジの立ったスタイリッシュなバンドは、ソリッドで無機質だが、潔い造形に未来感を感じます。主張がない分、個性的なケースが引き立ちます。

015_02-04_ボイスレコーダー_06先端がすっと細く愛らしい針は、座のみシルバーの金属質感で、それ以外の所が白なので、スタイリッシュで読みやすいです。

015_02-04_ボイスレコーダー_09裏ぶたは2段になっていて、少しでも薄く見せようと工夫されています。

015_02-04_ボイスレコーダー_12サイズ調整できるように考えられた中留め。

WATCH

CREDIT

RELATED

https://ms.citizen.jp/assets/070_10-02_カリキュレーター_01

レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

https://ms.citizen.jp/assets/099_12-07_L ムービングダイヤ_01

自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

https://ms.citizen.jp/assets/098_12-06_エクシード ユーロス_01

最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。