未来から来たような形
このモデルを表現するには、「未来感」という言葉が一番しっくりくるように思います。一見すると宇宙船のコックピットのようにも感じられる特徴的な造形は、1984 年、今から40年以上も前にデザインされました。過去の時計なのに「未来感」を感じさせる、様々な機能・要素が集まっているにも関わらずまとまりがある、造形が個性的なのにシンプルに感じる、不思議な要素が詰まった時計です。
シンプルさを感じるのは、エッジが立っていて、造形が大胆でシャープだからかもしれません。揺るぎのない潔いラインや、パキパキと移り変わる面の心地良さが、各要素の複雑さを一つにまとめて、一体感を生み出しています。
またシャープな中に「親しみ」や「可愛らしさ」を感じるのもこのモデルの魅力。直線的なラインの中に現れる、大きなアールの付いた丸みのある見切りやスピーカー部分、CITIZENロゴやRECの文字だけに施された金や赤のカラーリング、全体的にモノクロでまとめた中で少しだけ外した要素が、愛らしさを生み出しています。
「6 秒間の録音・再生が出来る」という当時としては画期的だった機能を、VOICE とTIMEという2つの顔で明確に分けることによって時計に上手くレイアウトし、機能性がデザインのインパクトとなったこの時計は、現代でも通用する未来的な造形と、唯一無二の愛らしいディテールを持っています。