徹底したデザインモチーフ

DIGI-ANA

https://ms.citizen.jp/assets/012_02-01_デジアナ_01

このモデルのデザインテーマはずばり「六角形」。六角形はクオーツ時計の水晶をイメージさせる形状で、当時最先端のクオーツ時計のデザインモチーフとしてぴったりです。文字板は大きなデジタル部と控えめなアナログ部で構成され、極力シンプルな表現になっています。デジタル表示の液晶セグメントを見ても1 つ1つ
が六角形で構成された数字を持ち、デジタル部とアナログ部の窓の形状も同様です。そして機能表示の小さなドット形状に至っても六角形...。この徹底されたモチーフ表現はユーザーに親近感を与えつつ、この時計のキャラクターを明確に示しています。結果、そのことが機能的にも視認性の向上に繋がっている好例です。
デザインモチーフがある場合、そのデザイン作業には繊細さが求められます。生々しければチープ感が強まり、弱ければデザインコンセプトが不明瞭なモデルになるからです。その点この時計は1つのモチーフで全体から細部に渡るまで一貫したディテールを持っており、機能性や視認性を損なうことく統一感を生み出しています。このように1 つのモチーフをテーマにして全体をセンス良く纏め上げることは、デザイン作業の重要な要素と言えます。

012_02-01_デジアナ_02シャープな面構成が美しい。六角形のモチーフがデザインに取り込まれてケース、文字板、バンドに統一感がある。現代においてはやや小振りな印象。

ケース側面のダイナミックな斜面が特徴。それがケースのボリューム感の緩和に貢献している。プッシュボタンは小さめでケースプロフィールを邪魔しないサイズ。

012_02-01_デジアナ_03シャープなケースラインが心地良く、ケースサイドは丸みを帯びた形状。ケースのステンレス色とガラスの黒印刷のコントラストが精悍な印象。

012_02-01_デジアナ_04ケースに対し裏ぶたが小さくシャープなエッジが薄い印象へ貢献。プッシュボタンも主張しない控えめなサイズ。

012_02-01_デジアナ_05電池ぶたが裏面の大胆なアクセント。裏ぶたを厚くすることでケースを薄く見せる工夫がされています。

012_02-01_デジアナ_08アナログとデジタルの共存が最大の特徴。一体感の強い先カン構造で大胆な斜面が腕への馴染みを高めています。ケース、文字板に一貫して表現されている六角形モチーフはこの時計のアイコン。

012_02-01_デジアナ_06文字板に繰り返される六角形モチーフ。小さなドットまでも六角形。デジタルのセグメントやCQ 表記にまでも統一感があります。

012_02-01_デジアナ_07緻密な9列バンド。やや薄めの巻きバンドが軽快感に繋がっています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

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自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

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最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。