Senji Kaneda

DESIGNER

https://ms.citizen.jp/assets/senji-kaneda
名前
金田 宣治
専門
プロダクトデザイン
地域
日本
経歴
1987年入社後、国内、欧州市場やグローバル向けのデザインを19年間担当。2006年から北米デザイン担当となり香港1年間と2007年から5年間北米駐在を経験する。北米ではデザインに加え企画業務も担当し2012年に帰国。その後北米、グローバル向け企画業務を3年間担当。2015年からはBULOVAのデザイン担当として 現在に至る。
趣味
オートバイ・車・自転車・ランニング
https://ms.citizen.jp/assets/012_02-01_デジアナ_01

徹底したデザインモチーフ

このモデルのデザインテーマはずばり「六角形」。六角形はクオーツ時計の水晶をイメージさせる形状で、当時最先端のクオーツ時計のデザインモチーフとしてぴったりです。文字板は大きなデジタル部と控えめなアナログ部で構成され、極力シンプルな表現になっています。デジタル表示の液晶セグメントを見ても1 つ1つ が六角形で構成された数字を持ち、デジタル部とアナログ部の窓の形状も同様です。そして機能表示の小さなドット形状に至っても六角形...。この徹底されたモチーフ表現はユーザーに親近感を与えつつ、この時計のキャラクターを明確に示しています。結果、そのことが機能的にも視認性の向上に繋がっている好例です。 デザインモチーフがある場合、そのデザイン作業には繊細さが求められます。生々しければチープ感が強まり、弱ければデザインコンセプトが不明瞭なモデルになるからです。その点この時計は1つのモチーフで全体から細部に渡るまで一貫したディテールを持っており、機能性や視認性を損なうことく統一感を生み出しています。このように1 つのモチーフをテーマにして全体をセンス良く纏め上げることは、デザイン作業の重要な要素と言えます。

https://ms.citizen.jp/assets/022_03-04_エクリッセ_01

普遍性

現在は「リングソーラー」と呼ばれる、ソーラーセルをリング状に配置する技術を、世界で初めて搭載したモデル。 モデル名のEclisse(エクリッセ)は、イタリア語で天体の日食、月食、覆い隠す等の意味をもつ言葉。ガラスと文字板の隙間にあるソーラーセルを、日食の際にできる、ダイヤモンドリングのような存在に見立てています。 通常エコ・ドライブでは文字板の下にソーラーセルを配置するため、文字板に光を透過する素材を使用しますが、このモデルではその制約がなくなったため、金属文字板が使用可能となりました。金属文字板の仕上がりを生かすため選ばれた、白の不透明塗装に塗膜研磨は、拘った質感でありながら、見やすさも確保されています。 ケースやバンドは、程よい膨らみがあり、主張しすぎない滑らかな仕上がりのため、品良くまとまっています。センターをミラー、サイドをヘアラインに揃え、質感で流れをつくり、すっきり見せています。 全体的に、余分なものを取り除き、洗練された見せ方をし、高級感を感じさせます。世界初の技術を多くの人に届けるための、普遍的なデザインです。

https://ms.citizen.jp/assets/046_06-04_チャレンジタイマーツノクロ_01

発想の転換

アイディアによるデザインの広がりを考えさせられるモデル。元々は12、6 時にサブダイヤルを持つムーブメント。それを90 度回転させて12時側にプッシュボタンを配置することで3、9時のサブダイヤルとなり、6 時側になったカレンダーは1つのサブダイヤルとしたデザインで「下三つ目」のクロノ顔が完成しました。12 時位置にプッシュボタンを配置したことで機能を妨げることは全くありません。 ケースの形状も大きなアールで丸められ大変馴染みが良いものとなっています。この全体の丸みがこのモデルの大きな特徴となっており、手の中に持った際にユーザーに心地良い印象を与えます。白黒コントラストの文字板からパンダとも呼ばれるのは、この全体の丸みのあるケースシェイプにも由来するのでしょう。 このように「ムーブメントを回転する」という発想の転換で腕時計本来の機能を損なうことなくデザインに変化を与え、その特徴を最大限に引き出した好例と言えます。元々のものから発想を変えることで全く別の形に生まれ変わる。その柔軟な発想がデザインの幅を広げ特別なキャラクター作りに貢献しています。「ツノクロノ」という愛称がついたのもその証です。 このような手法は普遍的な腕時計のスタイリングの幅を広げる上でデザイン的に有効な手段です。

https://ms.citizen.jp/assets/064_08-02_1000 m ダイバー_01

触るデザイン

 この時計はプロフェッショナル潜水用ダイバー時計として「機能」と「使いやすさ」が両立された好例です。  プロマスターはデザインが機能を阻害してはいけません。それゆえ各部の形状に多くの配慮がされています。レジを上面から押し下げて回転させる逆回転防止レジスターリング構造に加え、9 時のロックレバーで簡単に操作できるダブルロックシステムを採用。滑りにくいりゅうず形状、回しやすいレジスターリングデザイン、腕に当たる部分はエッジを無くした滑らかなディテール。  この時計にはさらに特別な機能が与えられています。それは「レジスターリング分解構造」で砂の混入時にユーザーが自分で分解掃除が可能。腕時計は本来分解してはいけないもの、ましてやダイバー時計です。その意外性と、自分のツールをメンテナンスできる喜びという満足感をユーザーに与えます。プロフェッショナルギアとしての存在感と満足感を両立させながら、心地良さ、安心感も生み出したことに大きな価値があるモデルと言えます。  機能性や装着感、それらが完全であればユーザーに安心感と心地良さを与えることができ、ユーザーの喜びに繋がる。デザインをする上で重要なポイントは多くありますがそれらが揃った製品はまさに「ユーザーフレンドリー」と呼ぶに相応しいと思います。