発想の転換

CHRONOGRAPH CHALLENGE TIMER

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アイディアによるデザインの広がりを考えさせられるモデル。元々は12、6 時にサブダイヤルを持つムーブメント。それを90 度回転させて12時側にプッシュボタンを配置することで3、9時のサブダイヤルとなり、6 時側になったカレンダーは1つのサブダイヤルとしたデザインで「下三つ目」のクロノ顔が完成しました。12 時位置にプッシュボタンを配置したことで機能を妨げることは全くありません。
ケースの形状も大きなアールで丸められ大変馴染みが良いものとなっています。この全体の丸みがこのモデルの大きな特徴となっており、手の中に持った際にユーザーに心地良い印象を与えます。白黒コントラストの文字板からパンダとも呼ばれるのは、この全体の丸みのあるケースシェイプにも由来するのでしょう。
このように「ムーブメントを回転する」という発想の転換で腕時計本来の機能を損なうことなくデザインに変化を与え、その特徴を最大限に引き出した好例と言えます。元々のものから発想を変えることで全く別の形に生まれ変わる。その柔軟な発想がデザインの幅を広げ特別なキャラクター作りに貢献しています。「ツノクロノ」という愛称がついたのもその証です。
このような手法は普遍的な腕時計のスタイリングの幅を広げる上でデザイン的に有効な手段です。

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12時側にプッシュボタンを設けたクロノグラフ。後に「ツノクロノ」の名称がつきました。ブラックベゼルが全体の印象を引き締めています。

ケースはたっぷり丸みがあり 手に持って心地良い膨らみ。腕への馴染みを考慮して12時側のラグが大きく下がっているのがわかります。

046_06-04_チャレンジタイマーツノクロ_0312 時側は大きくアールで丸められておりプッシュボタンを押しやすくする工夫が見られます。プッシュボタンも押しやすく指で押しても痛くないサイズ。ケ

046_06-04_チャレンジタイマーツノクロ_04ケース全体の丸みとガラス上面のフラット感が対照的。塊感が強調されています。

046_06-04_チャレンジタイマーツノクロ_05ラグ裏は深く円錐挽きされており、ラグ先まで斜面があります。裏ぶたはスクリューバックでしっかり固定されています。

046_06-04_チャレンジタイマーツノクロ_08上下非対称なケースデザイン。黒い斜面ベゼルの効果で引き締まっています。クラシカルなケースに対してややモダンテイストのメタルバンドデザイン。

046_06-04_チャレンジタイマーツノクロ_06シルバーと黒の三つ目のコントラストがスポーティー。センターのオレンジの秒クロノグラフ針がさらにその印象を強めています。6時のサブダイヤルはカレンダーをアレンジしてうまく三つ目の表現になっています。

046_06-04_チャレンジタイマーツノクロ_07ケースのボリュームと比較してやや薄いメタルバンド。駒ピッチが細かく良い腕馴染み。中留にはCITIZENの凸文字刻印。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

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