狙ったインパクト

X-8

https://ms.citizen.jp/assets/069_10-01_X8_01

 国産初の電子腕時計ということで、歴史に残る時計になるという確信を持ち、かなりのインパクトを与えるデザインにしたかったという強い意気込みが感じ取れます。デザイナーの意図通り、一度見たら忘れられないモデルとなりました。
 当時の大卒初任給が約30,000 円で、このモデルの価格とほぼ同じでした。にも関わらず人気を博し、シチズンの歴史にもインパクトを残しました。
 ただインパクトがあるというだけでなく、小ぶりで薄く見せようとする工夫、りゅうずをケースシルエットに隠すなど、腕時計に求められる本質を忘れていない点も、評価できる点でしょう。

069_10-01_X8_02

ケースは外側からバンドの固定箇所が見えないようにデザインが工夫されています。ケース上面のみ旭光ヘアラインにすることで、特徴的な上面形状が浮き立ちより際立ちます。薄く見せたいがバンド固定部は厚みが必要で、その両方を満たした結果がラグ先の形に表れています。

069_10-01_X8_03薄いりゅうずは存在感を消し、ケースシルエットに完全にフィットしています。

069_10-01_X8_04上面のみ旭光ヘアラインでその他をミラー仕上げにすることで、特徴的なシルエットをより強調して見せています。

069_10-01_X8_05特徴的なケースに対して文字板はシンプルですが、立体的なダイヤルリングが程よいアクセントとなっています。

069_10-01_X8_08より薄く見せようと工夫した結果がケース形状に現れています。ぷっくりとしたボックスガラスが有機的なケースにマッチしています。

069_10-01_X8_06ダイヤルリングには12、3、6、9時の所だけ刻みが入っており、シンプルな中に少し要素を入れることで、特徴的なケースと上手く調和しています。

069_10-01_X8_07裏ぶたにはこだわり抜かれたX-8の象徴的刻印が施されています。

WATCH

RELATED

https://ms.citizen.jp/assets/image03

挑戦するデザイン

シチズンは100年を超える歴史の中で数多くの世界初、世界一を生み出してきました。この記事では、時代のテクノロジーを取り込みながら、腕時計の新しい可能性を切り開いてきたエポックメイキングな商品を紹介します。

https://ms.citizen.jp/assets/070_10-02_カリキュレーター_01

レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

https://ms.citizen.jp/assets/100_12-08_L 漆玉_01

光を感じる時計

 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

https://ms.citizen.jp/assets/099_12-07_L ムービングダイヤ_01

自然の生命

 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。