時代の女性像

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 1996年のクロスシーデビューモデル。Cool,Clear, Creative のコンセプトを、シャープなケースとバンド形状、シンプルな文字板デザインで体現しています。
 90 年代当時の様々な流行を振り返ってみると、いわゆる「カワイイ」「女性=ピンク」といったいかにも優しく女性らしいものよりも、意思をしっかり持ち、外面・内面ともに強く格好良い女性像がファッションや音楽のトレンドにあったように見受けられ、その空気感がこのクロスシーにも反映されています。文字板のカラーバリエーションも白と黒のキリッとしたラインナップで揃えられ、ユニセックスなデザインにも見えます。
 この当時の一目でシャープな強さを感じるクロスシーのデザインは、女性の意識の変化やファッショントレンドとともに変化していきますが、芯の通った精神的な強さは現在のクロスシーのコンセプトに変わらず受け継がれています。
 時計を通じて、かつての時代の空気と、そこから受け継がれている変わらない思いを知ることができます。

050_06-08_クロスシー_02全体的にシャープな面構成で、かなりクールな印象。ガラスは厚みを持たせて、大胆にカットを入れていますそれにより文字板に深く影が落ち、シンプルなデザインに奥行きが加わっています。

050_06-08_クロスシー_03ケース本体は少し丸みのある面。対して、ベゼルは平らでシャープな面。全体的にざっくりとシンプルな形状なので、大胆に厚みのあるガラスが映えます。

050_06-08_クロスシー_04ベゼルはシャープで、ボディは丸みのある形。印象は固くも見えますが、肌に触れる部分の形状は丸みがあるので着け心地は良いものとなっています。

050_06-08_クロスシー_05短めのラグで、やわらかい面形状。ラグ先の斜面と両端の細いカット面がミラー仕上げでキラッと光ります。上面ヘアラインで印象をシャープに見せています。

050_06-08_クロスシー_06とてもざっくりとした形状のバンド。面が平らでシャープ。現在のクロスシーは上面にアールをつけることが多いので新鮮に感じます。

050_06-08_クロスシー_07目付けは無く、白塗装で仕上げたシンプルな文字板。左右のサブダイヤル周囲はキラッと光る挽目が入っていて、文字板が締まって見えます。

050_06-08_クロスシー_08シンプルに赤と黒の文字。日付の一番上の、日曜日を示すSのみが赤。

050_06-08_クロスシー_09潔いストレート形状の太めな時字をざっくりとカット。芯の強い印象を与えています。

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レトロフューチャー

 70 年代、時刻表示の新しい表示方式であるデジタル表示が開発されました。それは当時、近未来時計への期待を感じさせる表示機能でした。  この時計はデジタル表示の有効性を活かし、カリキュレーター(電卓)機能を初めて腕時計に追加するという発想のもとデザインされました。  時計と電卓機能の共有化を成し遂げた国産初の腕時計は、中央に表示モニター/外周に放射状に23 個のプッシュボタンを配置するという個性的なデザインスタイルで表現されています。腕時計のケースの基本である丸形状での表現をやり遂げたことが腕時計デザイナーならではの発想だと感じます。  15 度刻みに配置されたプッシュボタンの人工的な輝き。ケースとバンドの凹凸の無いシンプルなライン。これらは従来の挽き加工によるものであり、厚みのあるケースとクールなデジタル表示の組合せは新旧技術のアンバランスなレトロフューチャー感を生み出しています。  加えてこの初期モデルは金色で統一され、外装には各部材に異なる質感を持つ金色を巧みに使い分け、派手な色調にも関わらず品のある趣を醸しだしています。  特徴のある操作ボタンのレイアウトはスタンダードとはなりませんでしたが、先陣を切ったカッコよさ、誇りを感じさせます。

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 漆玉、ダイヤモンド、スモークガラス。それぞれの光の反射が、光源や時刻によっても違った表情を見せる奥行きのあるモデルです。ケース形状や文字板デザインがシンプルだからこそ、ディテールの美しさが映え、機械的な時ではなく、光が映し出すゆるやかな時を感じることができます。  文字板に時字はないものの、時分針は見やすく、時計としての機能を併せ持つブレスレットという印象です。  また、漆をいわゆる伝統的な見せ方ではなく、モダンなデザインで時計と融合させており、伝統技術の現代的な表現も楽しむことができます。  アシンメトリーな形状ながらも着けやすく、モダンなジュエリーを身につけているような特別感があります。

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 CITIZEN L には自然の中にある形状や光にインスパイアされたデザインテーマが多く、本モデルも「朝露」がテーマになっています。  ケース上の3 粒のダイヤがケースカーブに沿ってサラサラと滑らかに動き、時字が文字板上に散るように配置されている様子が、何も知らずにこの時計を見たとしても、自然の情景を思い起こさせるようなストーリーが秘められているデザインです。  パーツを見ていくと、文字板パターンや時字の配置、りゅうず位置、ケース形状など非対称な部分が多いにも関わらず、それぞれが均整の取れた位置に収まっているため、違和感や着けづらさはありません。非対称なデザインによって、自然の生命感を思わせるリズムや動きが生まれ、画一的な時間ではなく、ゆったりとした自然の時間を感じさせます。  ダイヤモンドが多く使われておりジュエリー感のある時計ですが、時字の配置やケースとバンドの隙間の取り方に抜け感があり、普段使いも可能なデザインテイストになっています。

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最小認知要素から 装飾するプロセス

 「バンド・針・丸」これは人々が腕時計と認知できる最小構成要素です。  ◆腕時計は、バンドがあっての“腕”時計である。  ◆腕時計は、針があっての腕“時計”である。  ◆時間は、繰り返される天体の周期(丸)から   作られた。  本モデルは、この3 つの要素に焦点を当てた「腕時計」のデザインのお手本のように思います。これらの3つの要素に豪華な装飾を施すことで、他の要素との主従関係をはっきりさせています。  ユーザーが求める「腕時計らしさ」と、ユーザーが満足する「装飾品としての美しさ」を兼ね備えた、全ての腕時計のお手本ではないでしょうか。