Toshinori Okazaki

DESIGNER

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名前
岡崎 利憲
専門
プロダクトデザイン
地域
日本
経歴
桑沢デザイン研究所を卒業後、2013年にシチズンに入社。グローバルグループに所属し、主に海外向けシチズンブランド製品(Ti+IP / プロマスターなど)のデザインを担当。2016年からは腕時計デザイン業務と並行して、時計とスマートフォンを接続して使用する製品のUIデザインにも従事。
趣味
ボルダリング、ランニング、ダンス鑑賞、子供と公園で遊ぶこと
https://ms.citizen.jp/assets/AXIS増刊号_CITIZEN_最終版

源流を探り、未来に生かす

創業100周年を機に、シチズンのデザイナーが自ら「シチズンデザインらしさ」を探求するため、過去のモデルに学び、そこから得た気づきを集約して「デザインソース」として言語化を行った。社外アドバイザーによる客観的分析を経ながら、約5年にわたって進められたプロジェクトを紹介する。

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遊んで、学べて、すぐできる

コロナの流行により、家にいる時間が長くなった子育て世代に、楽しいおうち時間を過ごしてもらうため立ち上げたプロジェクト。子育て中の社員が有志で集まり意見を出し合うことでボトムアップ的に生まれた活動です。コロナが5類に移行した現在も、「遊んで、学べて、すぐできる」というコンセプトのもと家の中で子供と大人が一緒に楽しめるクラフトアイデアをSNS等で発信しています。

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繋ぐかたち

スマートフォンとBluetooth®を介してリンクする腕時計。時間を示す時計という本質を持ちながらも、Bluetooth®という目には見えない機能が形状で表現されていて、私たちとスマートフォンを繋いでくれているように感じられます。 ケース形状はシャープかつ滑らかな造形。ケースサイドを大胆に刈り上げ、細いヘアライン面を残し、薄さやエッジ感を表現。その細いヘアライン面は柔らかいラグ足先のアールに繋がっていて、その面の流れはスマートフォンを想起させます。シャープさの中にもどこか柔らかく優しい印象があり、ディスプレイのように広くガラスが使用されていて、カットされたガラスがより一層先進的な印象を与えています。 文字板は2 時位置のサブダイヤルに表示が集中していますが、情報が整理されており、仕上げがマットで視認性も良好。複雑ながら整理され、独特なバランスを持った文字板は、高機能で新しい“計器”のような印象を受けます。

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かくし味

時計全体を構成するパーツを丁寧に見ていくと、様々な隠し味が潜んでいます。 [文字板 - 時字]意外にも時字の色が黒。下地が黒文字板ということもあり外形が溶け込んでいます。しかし動かすと時字がキラキラと光り、質感がしっかりと伝わります。上面に施された白い夜光とのコントラストが大きくなり、直線的な顔のイメージへと繋がります。 [文字板 - 印刷]白と銀の印刷を使い分けています。瞬時に理解するべき表示は白で強調され、補足となる内容は銀で表示されています。 [文字板 - 格子状パターン]近くで見ないと確認できませんが、一度わかると顔の豊かさを演出していることに気が付きます。その繊細さからは、ハイテクで確かな時計という印象を受けます。 [バンド]中駒と外駒の仕上げを縦ヘアラインと横ヘアラインにしています。同じアール形状ながらも仕上げを変えることで見え方が大きく違います。先カンのミラーパーツも相まって、オリジナリティを感じさせます。 様々な隠し味・要素を含みながらも、それらが巧みなテクニックで溶け込み調和しています。それぞれの要素が主張し過ぎずに、互いの良さを引き立て合っています。細部のこだわりが相互に補完し合い、より美しさを際立たせます。

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儚さの連続

 本モデルは儚い要素の集合で構成されたモデルだと感じました。ドーム状に大きく膨らんだサファイアガラス、それに沿って緩やかに曲がった針、グレイッシュな印刷物、美しい平滑面を出し輝きながらも、実は脆さと隣り合わせのセラミック素材など、プロダクトとしての美しさを持ちながらも、どこか弱さや儚さを感じさせる時計です。宙に浮いたメガネパーツはこちらを見つめているようで、生物的な印象を受けます。  視覚だけではなく、触覚のデザインもそのコンセプトを強めています。シリコンバンド(リキッドラバーバンド)は柔らかく、とても心地良い触り心地です。華美な装飾のない、シンプルな面のこのバンドは、クリーンな印象で文字板とマッチしています。  立体的な文字板が演出する“光と影”がこのモデルの一つのキーワードですが、その光と影もその時々で変化し続ける儚いものです。その時しか見ることのできない一瞬一瞬の儚さ、その連続がこのモデルそのものだとも言えます。