守られている安心感
外部の衝撃からムーブメントを保護しようと様々な工夫を凝らし、特徴的な意匠が集合した結果として、「守り」の美学が結集したとも言える時計となっています。厚く武骨なケース、パッキンを挟み込んだ別体構造のベゼル、ねじ留め、先カン等は、城壁や盾、鎧といった「防御」のイメージを連想させます。いかにもタフな印象で、どんな苛酷な環境でも耐えられるといった面持ちです。
しかしここで面白いのは、「武骨さ」という言葉は、ユーザーにとっては「 守られている安心感」という視点に変換することも可能という点です。これだけしっかり守られているのだから、多少雑に扱っても平気だろうという安心感につながることで、気兼ねなくガシガシ使え、突き放すどころかいつも近くで使うことができる、という心理的なメリットに意匠が大きく貢献しています。
武骨でヘビーな外観とは対照的に、ユーザーに対しては頼りがいや安心感といったソフトな利点を提供しているギャップに気づかされるモデルと言えます。