儚さの連続
本モデルは儚い要素の集合で構成されたモデルだと感じました。ドーム状に大きく膨らんだサファイアガラス、それに沿って緩やかに曲がった針、グレイッシュな印刷物、美しい平滑面を出し輝きながらも、実は脆さと隣り合わせのセラミック素材など、プロダクトとしての美しさを持ちながらも、どこか弱さや儚さを感じさせる時計です。宙に浮いたメガネパーツはこちらを見つめているようで、生物的な印象を受けます。
視覚だけではなく、触覚のデザインもそのコンセプトを強めています。シリコンバンド(リキッドラバーバンド)は柔らかく、とても心地良い触り心地です。華美な装飾のない、シンプルな面のこのバンドは、クリーンな印象で文字板とマッチしています。
立体的な文字板が演出する“光と影”がこのモデルの一つのキーワードですが、その光と影もその時々で変化し続ける儚いものです。その時しか見ることのできない一瞬一瞬の儚さ、その連続がこのモデルそのものだとも言えます。