まっすぐさ
針が回転するアナログ時計が主流だった時代から、デジタル表示が普及すると、時計デザイナーに求められる能力は、よりグラフィカルなものになりました。アナログとデジタルの複合モデルとなると、その両方の持ち味を引き出さなければならないため、難易度はさらにあがります。
デジタル表示はセグメント文字を有するため、直線的で角ばったフォルムになるのは必然ですが、本モデルは特に四角いデザインをしています。定規とコンパスで全部書いたのではないかと思うほどにまっすぐな線のオンパレードですが、それが一貫することでまとまりを生み出しています。デザイン作業において動かせないのは、ムーブメントに内蔵されたデジタルの数字。その直線的な数字の雰囲気に全体を合わせることで、違和感の無い、統一されたデザインに仕上げました。ピッ、ピッっとステップ運針する秒針の直線的な動きが醸す精度感に、視覚効果としての直線が持つスピード感があいまって、まっすぐに機能性を重んじる様子がうかがわれます。