発想の転換
アイディアによるデザインの広がりを考えさせられるモデル。元々は12、6 時にサブダイヤルを持つムーブメント。それを90 度回転させて12時側にプッシュボタンを配置することで3、9時のサブダイヤルとなり、6 時側になったカレンダーは1つのサブダイヤルとしたデザインで「下三つ目」のクロノ顔が完成しました。12 時位置にプッシュボタンを配置したことで機能を妨げることは全くありません。
ケースの形状も大きなアールで丸められ大変馴染みが良いものとなっています。この全体の丸みがこのモデルの大きな特徴となっており、手の中に持った際にユーザーに心地良い印象を与えます。白黒コントラストの文字板からパンダとも呼ばれるのは、この全体の丸みのあるケースシェイプにも由来するのでしょう。
このように「ムーブメントを回転する」という発想の転換で腕時計本来の機能を損なうことなくデザインに変化を与え、その特徴を最大限に引き出した好例と言えます。元々のものから発想を変えることで全く別の形に生まれ変わる。その柔軟な発想がデザインの幅を広げ特別なキャラクター作りに貢献しています。「ツノクロノ」という愛称がついたのもその証です。
このような手法は普遍的な腕時計のスタイリングの幅を広げる上でデザイン的に有効な手段です。