ベースデザインの構築
このモデルは、それまでの主流であった航空計算尺を回転ベゼルに配置するデザインを踏襲することなく、回転リングをケース内に取り込み、極力外装はシンプルにまとめられています。このデザインはその後のプロマスターのパイロット電波時計のベースとなって、長く継承されることとなりました。
電波時計の受信機能表示を秒針の「尾」の部分にて表示する手法も、エコ・ドライブの文字板において2 枚の文字板を貼り合わせて見切りの大きい文字板デザインを試みたのも、この商品が初めてでした。今では当たり前のように設定している設計手法もこのモデルの存在があればこそです。
計算尺・切分など要素が多く煩雑になりやすい文字板も、12 時と6 時位置に配置されたアラビア数字の時字により時刻が分かりやすいデザインにまとめあげています。
無駄の無い、そぎ落とされた機能美を表現したケースデザイン。視認性・精密感を巧みに表現した文字板デザイン。それらをMRK 処理を施したチタニウム外装と、エコ・ドライブ機能と電波時計の機能を合わせることで、軽く、傷つきにくく、止まらず、狂わない、という実用性の部分でユーザーに寄り添っています。
技術をデザインの力で見事に昇華させた1 本であり、シチズンのデザインに与えた影響は実に大きいと言えます。