見えなくする
この時計は鉄道員が使う時計として製造されたもので、社会インフラの縁の下の力持ちとも言えます。そして、そのような公共交通のインフラを支えるべく、実用性に十分配慮されています。時間が合わせやすいよう、12 時位置で秒針が停止する機能を持ち、また視認性(時間の見やすさ)には特に配慮がなされています。
そのため、視認性に深く関わる文字板以外の要素は主張が抑えられています。例えば、ベゼルの細縁・薄縁形状とその面構成、ラグの面構成、ケース下部の刈り上げなどです。
ただし、ただ存在感を消すのではなく、全体としての調和=美しさはしっかりと残されています。本当に見せるべきところを見せ、それ以外は美しく見えなくする。そのような意図がこの時計には含まれているように思います。