視覚的演出
薄型化はそれが「機能を満たした」場合、技術的に大きなインパクトをもたらす反面、「要素を削る」という点でデザイン上制限を受けることとなります。このモデルは光発電時計最薄という厳しい寸法制限を克服し、機能と装飾性を余すことなく造形化しています。
ケースに複合素材サーメットを使い、ベゼルと裏ぶたには硬く、耐食性等に優れたバインダレス超硬合金をサンドした構造で、パーツの組合せ面に凹凸を設けています。これは総厚増加を抑え且つ強度を高める造形であり、さらに、ケースとラグ先側面の上下に斜面を設けることで、視覚的にもより薄く感じさせる工夫を凝らしています。
文字板の時字/ 放射状のパターン印刷は細く長く、印刷の上下を先細りさせ、外径/ 内径のアウトラインがぼやけて見える効果を持たせています。この時計の動力源が「光」であることを象徴した表現であり、印刷面積増加に伴う光透過率の低下を抑える効果を兼ねています。
時分針は鏡面と艶消仕上げを施して鏡面のブラックアウトを活かし、実幅より細く感じさせ、視認性とケースデザインにマッチしたスマート感を演出しています。
「魅せる」試みが随所に感じ取れる薄型モデルです。