素材の良さを引き立てる、丁寧なデザイン
腕時計の駆動エネルギー源に太陽電池を使用した、エポックメイキングなモデルであるが、デザイン的には過度な強調や装飾も無く、丁寧にパッケージングされています。
おそらく、当時の技術ではソーラーセルを隠すことができないという制約の中、逆転の発想でこのような文字板のデザインに落とし込んだのでしょう。ソーラーセルがむき出しの大胆さが魅力となっています。文字板に対し、ベゼルは12 時- 6 時方向にアクセントを加え、ケースはバンドとのつながりやラグの落とし具合など細かなバランスを整える程度に留めることで、文字板をより魅力的に感じさせるバランスに落とし込まれてい
ます。
デザイナーは料理人に例えられることがありますが、難易度の高い食材の個性を見事に生かした好例と言えます。素材をそのまま生かしたという点で、どこか和食に近くもあります。