精度の視覚化

The CITIZEN Cal.0200

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2024.10.15

新開発の機械式ムーブメントCal.0200は、傘下のManufacture La Joux-Perret S.A.(スイス ラ・ショー=ド=フォン、ラ・ジュー・ペレ社)の技術やノウハウを活かして高い審美性を実現した次世代ムーブメントです。日本とスイス、両国の時計製造文化を融合し誕生しました。センター2針スモールセコンドというクラシカルな機構は「時計の原点に則した美しい輪列を表現したい」という開発者の強い思いによるものです。設計・組立はシチズンで行い、外観の装飾はラ・ジュー・ペレ社が保有する高度で幅広い装飾技術を最大限活用するというかたちで、このムーブメントの開発はスタートしました。

26 8 Tct Bs N C0200 90 E 7 のコピー名称未設定 1左:ペルラージュ加工の様子 右:保護メッキ付きの構成部品

センター2針スモールセコンドというクラシカルな表示スタイルと、先進性というシチズンのイメージとの両立に悩み検討を重ねました。その結果、開発者の「時計の原点に則す」の思想を外装にも受け継ぎ、「外装の精度を直感的に感じさせる造形」を表現するというデザインコンセプトに至りました。形状は奇抜さを狙うのではなく無駄な線は徹底して排除した造形を心掛けています。

復刻ではない

ラグを省いたケースは一見すると70年代のクォーツウオッチを彷彿とさせますが、決してデザインの復刻ではありません。当時と共通のテーマ「シチズンの先進性やチャレンジ精神の象徴」を求めた結果たどり着いたものです。言い換えれば時間の精度の高さを視覚的に表現するうえで当時のデザイナーと同じような発想の手順を踏んだ結果と言えます。画像2

一体感のあるケースとブレスレットは精度の高い切削加工により、鏡面仕上げとヘアライン仕上げを組み合わせています。ステンレス材の硬質感が感じられる鮮明な反射光/陰影は、まるでハイビジョン画像を観た時のような感覚を与えます。70年代モデル(右)と比較すると、ケースとバンドの連結部分(赤枠)の一体感とシャープな仕上がりは復刻とは異なるデザインアプローチを感じて頂けると思います。

視覚的効果の重要性

腕時計は実寸法ではなく「どう見えるか/感じられるか」が重要だと私は思います。例えばケース側面の上下斜面の角度を調整し、立ち上がり面の幅を狭く設定することによって、実寸法より薄く感じさせています。ケースのアウトラインとバンドのアウトラインとの一体感については3Dモデリングにて「装着時にどう見えるか=斜めから見た時の美しさ」について何度もシミュレーションし確認しました。このモデルに携わり、形状や質感の細かなバランスというものは実際に目で見ることが重要だとあらためて痛感しました。面比較 アートボード 1 のコピー面比較 02 のコピー上:修正前 下:修正後
ケース側面の上下の斜面角度を変更し、立ち上がり面[A]の幅を狭く設定することで同寸法ながらケースを薄く見せています。またケース先端[B]に鏡面仕上げの斜面を設けることにより、バンドの斜面[C]との一体感を強めています。

文字板の表現

文字板のデザインは時計の要だと私は思います。目にする機会が最も多い構成部品だからです。故に外装の精度を視覚的に感じさせた造形の緊張感を、どう文字板に落とし込むか慎重に検証しながら進めました。インデックスや印刷は長さ/幅/サイズの検討を重ね、メーターのように高い精度を想起させるレイアウトを心掛けました。ベースとなる文字板面には自然美をモチーフに見立てた模様を採用し、ケースやバンドなど寸法管理された人工的な美しさの中に偶然性をはらんだ自然美を融合させ、心地よいコントラストを表現しました。画像4どこまでも続く穏やかかつ雄大な雲海。自然が創り出す白のマチエール

画像5自然界が生み出す偶発的な砂地模様。凹凸の陰影が生み出すモノトーンの美しさ

画像6鏡面のように張り詰めた水面。静けさと映り込み

時刻を示す26 6 Tct Bs N C0200 90 E 5 のコピーN C0200 90 E F Shot のコピー

「時刻を読み取る」という繰り返し行われる行為にストレスを感じさせないよう心掛けました。時分針の仕上げは鏡面部分をV字として針のシャープさを強調し、平面部分をヘアライン仕上にすることで鏡面反射によるブラックアウト現象を抑え、どの角度からでも針先が読み取れるよう対応しました。「象徴」となるスモールセコンド表示を担う針は細く長く設定し,運針の様は「時を刻む生命感」を感じさせます。

満足感の持続

Im G0206 01 のコピー機械式腕時計が実用性だけでなく、自己主張や承認欲求を満たすと感じられるのは、宝石のような美しさが腕元を飾るという優越感や、多数の部品で構成された機械が自身の手の動きにより動作することで相棒のような愛着が生まれるからだと思います。見た目の重厚感と手首に馴染む自然な着け心地とバランス。装着時に感じる満足感を持続させ、新たな満足感を発見できるようタイムレスかつエイジレスなデザインを纏った「日常の最高級」を目指しました。

 

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腕時計本来の役割

腕時計は文字通り“時”を刻むもの。本モデルはその“時”をいかに見やすく、いかに美しく魅せるかに注力しています。針や時字の形状・仕上げ、大きくて見易い日表示はもちろん、ケースやベゼルは複数の面が効果的に組み合わさっていて、光の反射によって、あらゆる角度から見ても美しい仕上がりになっています。 中3 針の場合、単調になりがちな“顔”も、10時位置に配した“充電量表示”がポイントとなり個性を表現しています。 裏ぶたの象徴的なエンブレムは、持つ人に満足感を抱かせる演出で、ケースのサイズやラグの落とし方は、とても腕なじみが良く、ザ・シチズンの名に恥じない腕時計本来の役割を果たすデザイン。 端整で上品。かつ高級感あふれる1 本に仕上げられています。

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シチズンスタンダード

21世紀に向けて、新しい時代の思想や生き方にふさわしい腕時計をつくりたい。その思いから「ともに生きていくこと」をコンセプトとして生まれたザ・シチズンの初代モデルとして、1995年に発売されました。年差±5 秒の高精度ムーブメントを搭載するとともに、10 年間の無償保証や長期修理対応、専用相談窓口の設置といった、充実したアフターサービス体制を整えた、シチズンの時計づくりを象徴するモデルのひとつです。 ザ・シチズンの特徴である流行に左右されないシンプルな造形と、シーンやスタイルを選ばない上質なデザインを求めた結果が歪みのない鏡面と微細なヘアラインで構成されたケースに表れています。データ検証の結果を基にデザインされたラグの落ち方や大きさは、日本人の手首に最適化されています。 すぐれた視認性を求め、光の映り込みを抑えたガラスコーティングを始め、針、時字、文字板などのすべてに「どこからでも見やすい」ことへの工夫が施されています。また、低メタルアレルギー仕様であり、人に優しいシチズンならではの時計になっています。 時計の本質を追求し製作された、ザ・シチズンの名を冠するにふさわしいモデルです。

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飾るのではなく、削ぎ落とす。

シリーズエイトは、もともとは2008 年にデビューしたコレクションです。当時としては斬新な8 体構造のケースが特徴で、都会的でモダンなコンセプトを基調としていました。2014 年にひとまず幕を閉じ、それから8 年目を迎えた2021 年に再始動したのが、新生Series 8 です。シンプルかつモダンに。飾るのではなく削ぎ落とす。「引き算の美意識」と呼ばれるデザインコンセプトを継承しつつ、いま求められるスペックとたたずまいを兼ね備えた機械式のブランドとして、リスタートをしています。

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自然を感じる

私が2016年の立ち上げから関わっているシチズン エルでは、サスティナブルな観点で、いろいろな取り組みを行ってきました。最近はリモートワークが増え、人々がよりリラックスした生活を求める中で、新しい女性の生活スタイルに合うものを作る必要性を感じていました。そして、次の新しいモノづくりを考えていたときに、バイオミミクリーという言葉に出会いました。